フィリップ・セレイス・ド・ロスシルドは1963年、フィリピーヌ・ド・ロスシルド夫人(1933年-2014年)と著名俳優ジャック・セレイス氏の長男として生を受けました。母上のご逝去後、バロン・フィリップ・ド・ロスシルド社の監査役会会長に就任。2018年以降は社長兼CEO(最高経営責任者)を務めています。バロン・フィリップ・ド・ロスシルド社はAOCボルドーワインの輸出販売業務におけるリーダー企業であり、特に業界トップクラスのブランドワイン「ムートン・カデ」の生産・販売で知られています。また、姉カミーユ・セレイス・ド・ロスシルドおよび弟ジュリアン・ド・ボーマルシェ・ド・ロスシルドと共同で、ポイヤックの格付グラン・クリュ3軒(シャトー・ムートン・ロスチャイルド、シャトー・ダルマイヤック、シャトー・クレール・ミロン)およびドメーヌ・ド・バロナークを所有しています。
ボルドー高等商業学校を修了後、1991年にはハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得。
ニューヨークの投資銀行ラザードのM&A部門アナリストとして2年間、RJR Nabisco社のLBOファイナンスを担当するなど、大規模オペレーションを経験。その後、水道事業会社Compagnie Générale des Eaux(CGE/現Vivendi社)に管理職として転職し、英国やイタリア、台湾にて同社が進める環境保全プロジェクトの管理・遂行に携わりました。
1995年から1998年までは環境・エネルギー運営を専門とするCGE社のイタリア子会社へ移り、経理財務部長(CFO)として活躍します。
1998年にCGE/Vivendi社を退職後、マーケット分析ソフト開発を事業とするフランス企業SLP Infoware社の経理財務部長(CFO)、のちに最高経営責任者(CEO)を2003年まで務めます。同社をGemplusグループに売却後、同社を辞職し、2004年から2010年までNatixis Investissement社、続いてNEM Partners社にて管理職として活躍。いずれもNatixis Private Equity社の投資ファンドで、この時代、フィリップ・セレイス・ド・ロスシルドは、Newrest社(航空ケータリング)およびSaverglass社(高級ボトル製造)など、多数企業に対して投資を行なっています。
また、2005年に初回収穫を実施し、2010年には全世界に向けた販売をスタートさせたシャンパーニュ・バロン・ド・ロスチャイルドの事業においても、フィリップ・セレイス・ド・ロスシルドは組織運営のトップとして事業を牽引する存在であり、株主である一族メンバーの代表を務めています。
2011年からは、私学教育・知育教育および通信教育を専門とするAlma Learningグループの共同創業者となり、同グループの株主兼監査役会メンバーに就任。Alma Learningは現在、私立校Cours Hattemer、Hattemer Academy、Cours Legendre、Cours Saint Anne、Euro Formadisの筆頭株主です。なお、同年、新テクノロジー分野に特化した投資ファンドJolt Capitalを創業しています。
2015年、母上が残された功績に敬意を表して、フィリピーヌ・ド・ロスシルド基金を姉弟と共に設立。2017年1月からは同基金の理事長を務めています。また、フィリップ・セレイス・ド・ロスシルドは2018年、バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社の社長兼CEO(最高経営責任者)に就任しています。
プライベートでは、3人の子供たち(レオノール、マチルド、ナタン)の父親です。